晩秋のある日、久しぶりに日本橋方面へと繰り出した。
(C) C.KODAMA クリスマスモードが全開の街中で、ふと道路をはさんだ向こうを見ると、「にほんばし島根館 島根県物産観光館・東京支所」の賑わいが見えた。早めに帰宅するつもりだったが、横断歩道を渡って店舗へと入ってしまった。
 春先と初秋の二回にわたって、島根県内にある二つのSCへ、講演とサポートに出向いたから興味をそそられたのか?…それとも、NHKの朝ドラマ『だんだん』(出雲地方の方言で、ありがとうの意味)に感化されて親近感が増していたせいなのかもしれない。
 「仁多米、売っていますか?」
 「ありますが…」
 売場スタッフとの大きな声でのやりとりを、レジに並んでいた人達に一斉に見られた(聞かれた)ような気がした。
 「混雑しているのは、ドラマの効果かしら?」
 「おかげさまで…」
 店内には、主役二人(双子)のポスターが貼られていた。
 奥出雲の大地で丹精をこめて育てられた、おいしい仁多米(全国米・食味分析鑑定コンクールで、平成13年に金賞、15年には特別賞を受賞)の購入は、次回にすることにして、「瑪瑙(めのう)」のブローチや、「そば粉」「ドリンク類」など、チマチマとしたものばかりを購入してきた。
 本コラムの掲載日、私は初冬の南国土佐にいる。…映画
『私は貝になりたい』のロケ地となったその地で、「四万十川の海苔」をかじりながら、主人公の無念さを思い浮かべて涙しつつ「鰹(かつお)」のたたきに「柚子(ゆず)」をかけていよう。
〔ILLUST:C.Kodama〕
日本繊維新聞(毎週水曜日掲載)No.331