March 10, 2010

◆銘仙のきもの

 和ダンスをあけて、「今度は、これと、この帯を合わせてみようッ!」と、あれこれ思い描くことが好きだが、洋服のスタイリングと微妙に(かなり…?)違って、上品になったり、やたら水っぽくなってしまうこともある。
 近頃、気になっているのは「銘仙」のきものだ。
(C) C.KODAMA 昨年と今春に、「太宰治」原作の映画『ヴィヨンの妻』と
『人間失格』を観たことで、女優の「松たか子」さんや「寺島しのぶ」さんが、銘仙のきものを、あまりにも「粋」に、そして「はかなげ」に美しく着こなしていたことに、刺激されたせいだろう。
 それは、「紬」と同じく織りの反物だが、太めの絹糸で織られた「絣」や「縞」紋様は、養蚕の盛んだった時代に大衆に愛された。
 もっと遡れば、江戸末期から、明治、大正、昭和初期へと続く「カジュアルウェア」のような装い物だったのだろう。
 織りのきものには、「染め地の帯」を、染めのきものには、「織り地の帯」を…が、和装の世界では失敗をしないルールと言われているが、昔の人は「そんなことを考えていたのかなあーッ?」
 それぞれの映画に登場した二人の女優は、普段の洋装もステキなのに和装姿は、“お育ち”がいいから着こなしも品よく
秀逸だった。
 遠い昔のことだが、「成人式」のお祝いにと、「太宰治全集」をくれた人がいた。『人間失格』も読んだが、当時はよくわからなかった。
 年を重ねた今頃になって、内容を様々な角度から理解できるようになったのは、「銘仙」の放つ明るさと悲哀のおかげか…?
〔ILLUST:C.Kodama〕
日本繊維新聞(毎週水曜日掲載)No.390


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